年代で、眠りの課題は入れ替わります

国の調査では、50歳代の約半数が、ふだんの睡眠が6時間に届いていませんでした。一方、70歳以上になると、短すぎる人は減り、長く寝床にいる人が増えていきます1。

そこで国の指針は、年代で目安を分けています。成人は「6時間以上を目安に」。高齢の方は「寝床にいる時間を8時間以上にしない」ことを目安にしています2。

眠りの目安は、年代で違う厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」

成人高齢者
眠る時間6時間以上を目安に寝床にいる時間を
8時間以上にしない
朝に確かめること休まった感じがあるか休まった感じがあるか
日中体を動かし、
朝の光を浴びる
活動的に過ごし、
長い昼寝は避ける
夕方から夜カフェインを控え、
寝酒はしない
カフェインを控え、
寝酒はしない

長く寝床にいるほど良いわけではありません。

出典:厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf

必要な睡眠の長さは、年齢とともに少しずつ短くなります。その一方で、寝床にいる時間は年齢とともに長くなりがちです。長く寝床にいることは、健康のリスクになるとされています2。

時間と、「休まった感じ」の両方を見る

眠りは、時間だけでは測れません。朝起きたときに「休まった」と感じるかどうか(睡眠休養感)も、大切な目安です2。

寝不足は、気づかないうちに頭のはたらきを落とします

睡眠が足りない状態が続くと、注意力や、ものごとを覚えておく力が、日ごとに落ちていきます。しかも、本人はその低下になかなか気づきません34。

「慣れたから大丈夫」と感じていても、頭のはたらきは戻っていないことがあります。

眠りと、こころ

眠れない日が続く人は、のちに気分の落ち込み(うつ病)が起こりやすい傾向があります。反対に、気分が落ち込むと眠れなくなることもあり、眠りとこころは行き来する関係です5。

高齢の方の不眠を治療すると、うつ病が起こりにくくなったという研究もあります6。

眠りと、認知症

眠りが短すぎる人は、将来の認知症と関連があることが、日本を含む長い追跡の研究で報告されています7。これは「関連」であって、眠りを長くすれば必ず防げる、という意味ではありません。

よく眠るために、できること

  • 朝の光を浴びる:体内時計が整います2。
  • 日中に体を動かす:週に何回かの運動習慣が、寝つきや眠りの質を良くします。夕方の運動なら、寝る2〜4時間前までに2。
  • 長い昼寝を避ける:昼寝をするなら、午後の早い時間に、短く2。
  • カフェインは控えめに:夕方以降は控えます2。
  • 寝酒はしない:かえって眠りを悪くします2。
  • 眠くなってから寝床へ:眠れないときは、いったん寝床を離れます8。

夜中にトイレに起きるときは、転ばないように足元灯をつけましょう2。

生活を整えても眠れないとき

長く続く不眠には、「不眠の認知行動療法」という、薬を使わない治療があります。海外の指針では、最初に勧められる治療です9。気⁠に⁠な⁠る方は、眠りの専門医に相談してください。

睡眠薬は、困ったときに医師と相談して使う薬です。高齢の方では、ふらつきや物忘れに注意が必要とされています。気⁠に⁠な⁠ることがあっても、自分でやめたりせず、主治医に相談してください210。

こんなときは受診を

  • いびきが大きく、昼間に強い眠気がある(家族に呼吸が止まっていると言われた)
  • 眠っている間に、夢に合わせて大きな声を出したり、手足が動いたりする
  • 生活を整えても、眠れない日が続く
  • 眠りの悩みとともに、気分の落ち込みが続く

睡眠の病気は、50歳代から増えていきます2。