痛みと眠りは、行き来する関係

長い期間、多くの人を追いかけた研究で、眠れない人は、のちに慢性の痛みが出やすい傾向がありました。反対に、痛みがある人は、のちに眠れなくなりやすい傾向もありました12。

慢性の腰痛や、膝・股関節の変形性関節症、肩の痛みがある人の多くが、眠りに困っています34。

眠りを整えると、痛みが和らぐ助けになる可能性も

眠りを良くする治療として、「不眠の認知行動療法」があります。痛みがある人でも、眠りははっきり良くなることがわかっています。痛みそのものへの効果は、小さいものでした56。

国の指針も、眠りを整えることが「痛みを和らげるのに役立つ可能性もある」と伝えています7。眠れば痛みが取れる、というわけではありませんが、眠りと痛みの両方に目を向けることが大切です。

痛みと眠りに、何が役立つか慢性の痛みがある人を対象にした研究とガイドラインから

眠りには痛みには根拠
眠りの
認知行動療法
よく良くなる少し比較試験の
まとめ
体を動かす少し良い方⁠向勧められている
(慢性の腰痛など)
ガイドライン
中くらいの
硬さの寝具
—良い方⁠向(腰痛)比較試験
1つ
寝る姿勢・枕はっきりしないはっきりしないしっかりした
研究はない

楽な姿勢で休んでかまいません。眠っている間に、寝返りで姿勢は変わります。

出典:Selvanathan J, et al. Sleep Med Rev 2021 / 腰痛診療ガイドライン2019・慢性疼痛診療ガイドライン2021 / Kovacs FM, et al. Lancet 2003

体を動かすことは、痛みの治療の柱

慢性の腰痛や慢性の痛みには、体を動かすことが、日本のガイドラインで強く勧められています89。眠りにも、良い方⁠向にはたらきます。

痛みの範囲で、できることから始めましょう。家でできる運動は鍛えるのページにあります。

寝る姿勢や寝具は、楽なものでかまいません

「どの姿勢で寝るのが正しいか」には、はっきりした答えはありません。そもそも、眠っている間に寝返りで姿勢は変わります。寝始めは、楽な姿勢で休んでかまいません。

寝具は、硬ければよいというわけではありません。腰痛の人では、硬すぎないものの方が良い結果だったという比較試験があります10。

痛み止めは、早めに

痛み止めは、痛みが強くなってからよりも、早めに飲む方が効果的です。飲む時間や量は、主治医や薬剤師に相談してください。自分で増やしたり、やめたりはしないでください。

眠りのために、できること

  • 日中に体を動かし、朝の光を浴びる
  • 夕方以降のカフェインと、寝酒を控える
  • 眠れないときは、いったん寝床を離れる

くわしくは50歳からの睡眠をご覧ください。

こんな痛みは、早めに受診を

  • 姿勢を変えても、じっとしていても痛みが変わらない
  • 熱がある
  • 食べているのに体重が減る
  • 胸や背中の痛みを伴う
  • 転んだり、尻もちをついたりしたあとから痛む
  • がんの治療を受けたことがある、ステロイドを長く使っている(主治医に伝えて相談を)