転ぶことは、介護の大きな入り口

介護や支援が必要になったきっかけを調べると、「骨折・転倒」が上位に入ります1。

65歳以上で、転んだり落ちたりして亡くなる人は、同じ年代で交通事故で亡くなる人の約5倍にのぼります2。

脚の付け根の骨(大⁠腿⁠骨の付け根)の骨折は、国内で年に約19万件と推計されています3。そして、その約4分の3は転倒がきっかけです4。

効くのは「バランス」の運動

転ぶ回数を減らすことが、確かな根拠で示されているのは、バランスや動作の練習です5。

筋トレは、それと組み合わせることで効果が期待できます。一方、筋トレだけやウォーキングだけでは、転ぶのを防げるかどうか、まだはっきりしていません5。

転ばないために、効く運動地域で暮らす高齢者の研究をまとめた結果(コクラン 2019)

運動の種類転ぶ回数根拠の確かさ
バランス・動作の練習減る高い
筋トレ+バランスおそらく減る中くらい
太極拳減るかもしれない低い
筋トレだけわからないとても低い
ウォーキングだけわからないとても低い

筋トレは、バランスの練習と組み合わせましょう。

出典:Sherrington C, et al. Cochrane Database Syst Rev 2019;1:CD012424(108試験・23,407人)

目安は「週3回以上、12週以上、続けるほどよい」

世界の転倒予防ガイドラインは、バランスに挑む運動と、座って立つ・足を踏み出すといった動作の練習を、週3回以上、少しずつきつくしながら12週以上続けることを勧めています。続けるほど効果が大きく、やめると効果は薄れます6。

国の指針も、65歳以上の方には、筋トレとバランスの運動を合わせて週3日以上を勧めています7。

家でできる運動

家で行うバランスと筋力の運動でも、転ぶ回数が減ったという研究があります8。このサイトの種目は、その中身とよく重なっています。

脚とお尻の力

  • 椅子スクワット:座って立つ動作そのものです。
  • かかと上げ:つま先で踏ん張る力をつけます。

バランス

  • 片脚立ち:椅子の背につかまって、片足を少し浮かせます。
  • 継ぎ足立ち:前の足のかかとを、後ろの足のつま先にくっつけて立ちます。
片脚立ちの3つの段階:椅子の背に両手をのせて立つ、片足を少し浮かせる、指先だけで触れて立つ
片脚立ちの3つの段階:椅子の背に両手をのせて立つ、片足を少し浮かせる、指先だけで触れて立つ

くわしい手順は鍛えるのページにあります。どの運動も、いつも、すぐつかまれる物のそばで行います。

家の中も見直しましょう

段差や滑りやすい床、暗い廊下を見直すことも、転ぶのを防ぐ助けになります。とくに、すでに転びやすい方で効果が見られています9。運動とあわせて、補助として考えましょう。

転んだときの備え

ひとりで家にいるときに転んでも助けを呼べるように、携帯電話を身につけておくと安心です6。

こんなときは受診を

  • 転んで、けがをした
  • この1年で、2回以上転んだ
  • 転んだあと、自分で起き上がれなかった
  • 気が遠くなって転んだ、めまいや立ちくらみのあとに転んだ
  • 急に脚の力が入らない、しびれる、歩き方が変わった

飲んでいる薬がふらつきに関係していないか気⁠に⁠な⁠るときは、自分でやめずに、主治医に相談してください6。